2019年12月13日更新

カリフォルニア発:NBAウォッチング (23) 最下位を「満喫中」のウォーリアーズ!

Steve Kerr is ‘enjoying this season’ as Warriors anticipate better days

スティーヴ・カーは今シーズンを楽しんでいる。「奇妙に聞こえるかもしれないが、今の状況は楽しいよ。」ゴールデンステイト・ウォーリアーズの今の苦境は、新しい夜明けだ。

NBA.COMの記事より。

この記事はあくまで簡単な抄訳ですので、転載等はご遠慮ください。引用するときは、必ず原典 (NBA.com) を当たってください。

頂点から底辺へ。わずか2シーズンのうちにNBA史上でも例を見ない転落を経験中のゴールデンスティト・ウォーリアーズ。

しかしチームは意外なほど明るい。

チームも外野も、ウォーリアーズの今シーズンの不調は一時的なもので、来シーズンにはまたウォーリアーズ一流の見ていて楽しいバスケットボールが帰ってくるとわかっている。5年もの間、休むことなくプレイオフを6月まで戦い続けたチームにとって、これはちょっとした休息だ、と考えることもできる。だから涙は要らない。本人たちが悲観的になっていないのだから、何を悲しむ必要があるだろう?

「おかしな話かもしれないが、私は今シーズンを楽しんでいるんだよ」と監督のスティーヴ・カーは言う。

もちろん、連戦連敗を楽しんでいるという意味ではない。勝つことを義務付けられ、あらゆる期待、要求、プレッシャー、外野のうるさい声、さらにはぶつかりあうエゴを乗り越え、歴史的チームを1年近くもコーチし続けるという重圧が、今シーズンのカーの肩にはない。それらがなくなった今、カーは新しい視点でバスケットボールに取り組むことができているのだ。新しい課題が、新しい前向きなモチベーションとなっている。

だが、チームが全く悲観的になっていない本当の理由は、2020-21シーズンに対する期待だ。怪我を克服したステフ・カリーとクレイ・トンプソンがたっぷり休養を取り、すっかりリフレッシュして戻ってくる。ドレイモンド・グリーンに今シーズン負荷をかけすぎないように注意し、来シーズンに備える。

今シーズンの成績が悪ければ、来年六月のドラフトで、いい指名権ももらえる。いい選手を獲得できるだろうし、彼をトレードして即戦力を得てもいい。

ディアンジェロ・ラッセルがカリー、クレイと三人でガードのポジションを回せるかどうか今季中に判断する。もしくは、ラッセルを、器用なスイングマン、あるいは実績のあるリム・プロテクターと交換トレードするのもいいだろう。

そして、エリック・パスカル、グレン・ロビンソン、カイ・ボウマン、アレック・バークスといった期待の若手選手を、来シーズンに向けて育成する。

これらが全てうまくいけば、ウォーリアーズが来シーズンまたチャンピオンシップの候補になることは想像に難くない。返り咲きを狙っているスターや、ダイヤの原石のような選手を獲得する幸運に恵まれれば、レイカーズ、クリッパーズやバックスといったチームと直ちにトップ争いをすることも可能だろう。

「我々のチームはすっかり生まれ変わったよ」とカーは言う。「去年チャンピオンシップを争ったチームとは全く違う。今年の目標は、けがなく、健全な環境で若い選手たちを育てることだ。ロースターを強化し、彼らの中から将来のウォーリアーズを担う選手を見出すこと。そしてカリーたちが戻ってきたら、またチャンピオンシップを目指して一気に攻める。実に楽しみだね」

パスカルはドラフト2巡目指名だったものの、オール・ルーキーが今選出されるなら、絶対に選ばれるだろう。ウォーリアーズのように常に上位にいるチームはドラフトで上位の選手を指名することができないため、パスカルのように2巡目から大化けする選手が出ることは大きなボーナスだ。上背こそないが、基本がしっかりしていて、統制された動きを見せる。そして、二世のNBA選手であるロビンソン。6年で5チームを渡り歩いた彼は、ウォーリアーズに来て輝きを取り戻した。「ここでチャンスをつかみたかった。デトロイトが自分のオプションを拾ってくれなかったとき、ここに来ることを決めたのは賭けだった。ウォーリアーズはいい組織だと思っていたし、このチャンスをものにしたい。ウォーリアーズには勝ちのカルチャーがある。例え負けているときでも、コーチ陣も選手も前向きだし、すばらしいよ。そしてドレイモンド、ステフ、クレイといった、勝つことにかけては一流の選手たちといつでも話ができるんだから。すでに彼らからたくさんのことを学んでいるよ」

彼らを導くことが、カーの大きなモチベーションになっている。ステフにシュートの技術を教えたり、ケヴィン・デュラントに得点の仕方を教えることなど、どんなコーチにもできないが、今年のチームはそうではない。「今は、教えることが楽しい。若くてやる気のある選手たちが毎日切磋琢磨しているんだから。去年とは全く違う状況だけれど、彼ら若手一人づつを教えられるというのは実にやりがいのある仕事だ。彼らはすばらしいよ。すごくがんばっているし、どんどんよくなっている。」

「僕自身も、コーチとして成長していると思うね。こういうふうに選手を教える状況に、しばらくなっていなかったからね。環境はどんどん変わるということを思い出させてくれた。去年までの5年間は、チャンピオンシップを狙うためのチームを監督することが私の仕事だった。シーズンを戦い抜き、プレイオフに備えること。だけど今年は若手を教え、育成するのが私の仕事だ。」

カリーやステフには肉体的な休養だけでなく、精神的なリラックスも必要だった、とカーは言う。「昨シーズントロントに負けたあと、冗談半分に『このチームにはボーナス休暇が必要かもね。イタリアにでも行って、ゆっくりワインを楽しむとか。』と言ったんだけど、それぐらい選手たちは全てを出し切った状態だった。怪我という形で休養が訪れるというのは皮肉な結果だったけど、二人は精神的にもリラックスする必要があった。5年も続けてチャンピオンシップのファイナルを戦うというのは、想像もできないぐらい過酷なことなんだよ。相手チームは毎試合、これが彼らにとっての大一番だと思って向かってくる。それをシーズン通してしのぎつづけ、9か月ものあいだ全力を尽くして戦わなければならないんだから。肉体も精神も搾り取られるよ。だから、私自身は、彼らが休めたことはよかったと思っている」

負けが込んでも、経営陣もファンもあせってはいない。3回もチャンピオンシップを勝ってくれたんだから、来シーズンにむけて、ゆっくりとチームを立て直してくれればいい、という雰囲気に満ちている。今までのがんばりのおかげで、今はゆっくりと次に向けた準備ができる。そしてウォーリアーズはその時間を有効に使っている。