インド人や中国人の躍進に象徴される世界の人口構造、富配分の構造の変化は、2つの大きな変化を世界にもたらします。

  1.  資源の再配分
    エネルギー、天然資源、食糧など、飛躍的な増産の見込めない資源を、飛躍的に増える富裕層、中間層で取り合うことになる。当然、全てにおいて単価は上がり、入手が困難になる。石油や天然ガスの価格は様々な要因により今のところ低レベルで推移していますが、鉱物、食糧などにはすでにはっきりとした影響が出てきています。
  2.  イノベーションによる社会構造の変化
    ”あらゆる業界で競争が激化し、ビジネスモデルの耐用年数がどんどん短くなっています。このため商品だけでなく、「人材のコモディティ化」が進んでいます。特殊な能力をもった一部の人を除いて、ほとんどの人は、より給料の安い人に置き換えられてしまう。” と瀧本哲史さんが書いておられるように、イノベーションの速度が劇的に上がったために、新しいビジネスモデル、コンセプト、技術、その他の耐用年数がどんどん短くなって、製品も、人材も「コモディティ化」の荒波にさらされる。
    もちろん、イノベーションは新しいチャンスや可能性をもたらしてくれるので、マイナスばかりではありませんが、とにかくこの変化の波のスピードについていくことが、必至となってくる。

これらが地球の内側からの変化だとすれば、地球を覆っている大気の変化も、我々の未来に大きな不確定要素をつきつけてきます。すなわち、温暖化(気候変動)による天災の増加です。大雨、洪水、旱魃、台風、ハリケーン、大雪・・・・。これらは、建物やコミュニティなどの財産を奪い去ってしまうだけでなく、食糧生産などにもダイレクトに影響を与える。ただでさえ資源の一人当たりの取り分が減っていく中で、さらなる目減りを加速させるリスクである気候変動は、大きな不安材料になる。

これら3つの要因を、アンドリュー・ウインストン氏は、「Hotter, scarcer, and open world」と表現しています。そして、この3つの劇的な変化の要因がからまりあった現代は、ビッグ・ピボット(大転換)の時代なのだ、と。

今まで、地球のため、環境のため、資源のために、「今日あしたの自分の生活に影響はないけど、大事な心がけだからやろう」というスタンスで取り組まれてきたサステイナビリティですが、ビッグ・ピボットの時代には、もっと切羽詰った課題を突きつけてくる。

飛躍的に増えないばかりか、温暖化によって目減りするであろう資源を、飛躍的に増える富裕層、中間層の間で、どう効率的に入手し、配分するのか。勝者と敗者を自動的に生み出す、奪い合いは、誰にとってもサステイナブルではありません。奪い合わないなら、どうすればいいのか。これまでの資源の使い方とは全く違う考え方が必要になるのではないか。

そして、イノベーションに導かれた激しいグローバル競争を、企業として、働く個人として、消費者として、国民として、どう生き抜いていくのか。コモディティを売りながら、自分がコモディティとしての人材になってしまったとき、残されるのは消耗戦しかありません。そうなってしまえば、働く会社もサステイナブルではないし、働いている自分自身もサステイナブルではない。では、コモディティを売らないために、人材としてのコモディティにならないために、何が必要なのか。