Zapposkowai

「顧客にワオ!を届ける」で有名な、オンライン靴小売りのザッポス。2013年にラスベガスのダウンタウン(旧市街地。現在はさびれている)に移転して、申し込めば誰でも参加できる社内ツアーを公開しています。2014年8月に参加したツアーの様子と、そこで感じた違和感の正体とは。

Zapposfamily

ザッポスの本社は、ラスベガスの旧市庁舎。その建物を舞台としたツアーは、新しい価値観を持って急成長してきた企業の、一風変わったカルチャーを知る機会として大変人気があります。私が参加した回は、年齢も職種も様々な人たちが、約20人ほど。ほとんどの人が、企業単位での視察でした。

奇天烈なロビーのディスプレイに目をしばしばさせつつ案内された部屋で、まずは「ツアー担当」のスタッフから簡単なブリーフィングを受けます。ザッポスはこのツアーのために、専属のスタッフをガイドとしてトレーニングしており、写真のように、非常に若いスタッフが揃っています。

Briefing

最初の違和感は、このブリーフィングでした。

参加者は、スーツやネクタイ姿のサラリーマン風の人が多いのに、ガイドスタッフは自己紹介や会社紹介のために歌を歌ったり、寸劇風やコント仕立ての演出をしたり、ちょっと過剰なまでのサービス精神なのです。聞けば、このガイドのポジションは公募制で、電話オペレーターからガイドになったり、様々なバックグラウンドのスタッフが集まっているとのこと。いずれにしろ、もと電話オペレーターがやるコントなので、そんなに面白くはないのです。

なのに、なぜそこまで面白くあろうとするのか?

確かに、「変わっている、おもしろい」はザッポスのトレードマークともいえますし、こういうカルチャーがザッポスのザッポスたるゆえんと言えなくもありません。ですが、社内ツアーのガイドは、企業の広報官であって、芸人ではないのでは?この人たちは、なぜここまでやろうとするのだろうか?

Zapposoffice

そんな疑問を持ちつつ、社内ツアーがスタート。まず目につくのが、どこもかしこも毎日がバースディパーティかと思わせるようなディスプレイ。こんなところで毎日働けたら楽しそうです!

・・・・楽しくないはずがないですよね?

でも何か、それだけではすまされなさそうなものを感じてきました・・・。

Callcenter

コールセンターのエリアも、毎日がパーティか!というぐらい、楽しく飾り付けされています。「Delivering Happiness(ハッピーを届ける)」の黄色いサインの奥で、電話を受けているオペレーターさん。

通販の会社にとってコールセンターはキモとなるユニットです。しかしそのキモを、多くの企業がコストダウンのために、外注したりコストの安い場所に移転させたりします。
しかし、ザッポスはコールセンター要員を全てラスベガスの本社に常駐させており、他の事業部との距離を近くして、コールセンターで起こっていることが、すぐ他の部署と共有できるようにしています。ザッポスにおいて、コールセンターはビジネスの中心なのです。コスト削減の対象どころか、お客さんとの接触が起きる、一番大切な「現場」。ですから、ザッポスの社員は、どの部署に配属になっても、幹部クラスでも、コールセンターのトレーニングを受けることを義務付けられています。トニー・シェイ氏が自ら電話応対することもあるそうです。

Zapposboard

ザッポスといえば、一人の顧客にかける時間に制限がなく、顧客にお見舞いのお花を送ったり、カードを送ったりなどの「神対応」をすることで有名です。しかし当たり前ですが、コールセンターはビジネスであってボランティア活動ではありません。顧客にかけるコストと売り上げを、日々の業務の中でチェックしているのか、質問してみました。

少なくともツアー担当の人たちは、コールセンターにかかるコストが、細かくチェックされている、というふうには認識していませんでした。また、オペレーターが自分の裁量でかけられるコストに上限があって、それを超えたら注意されたりする、というようなこともどうやらなさそうです。コールセンターのエリアには、上の写真のようなボードが貼りだしてあって、日々のコール数、メール数、その他もろもろの数字が書き込んではありますが、そんなに厳密にデータを追いかけている感じではしませんでした。

それから、オペレーターには、対応マニュアルのようなものもない、ということです。こういうケースにはこう対応しなさい、という決まりごともない。

・・・・もしかして、頼れるものは、自分だけ?